本遺跡は、山形県の朝日連峰を水源とする荒川流域左岸の高位河岸段丘面に立地している。
標高は88~100mで遺跡のすぐ北側で荒川が蛇行し、荒川支流の沼川が合流する。
遺跡周辺は急峻な段丘崖が形成している。
将来日本海側と太平洋側の交通の円滑化と地域振興を目論んで鷹ノ巣道路の計画に伴い分布調査、
試掘調査が行われ新たに遺跡が発見され「カヤマチ遺跡」と命名された。
2012年に本調査が行われている。村内の本格的な調査は「荒川台遺跡」に次ぐもので、
村内の旧石器時代から縄文時代にかけていくつか周知化されているが、
その空白を埋めるものとして、また下越地方においても希少な早期後葉の土器群が確認された
貴重な存在である。土器群については、2次的な比熱や風化が著しく器面の状態は良好とは言い難いという。
土器の施文の特徴から縄文前期中葉の可能性もあるが、胎土の特徴や共伴する石器の組成から
縄文早期後葉に比定されるという。
出土遺物は、不定形石器と剥片類が殆どで、100点程の出土遺物に対し8点のヘラ状石器が
高い割合で出土した。出土石器類は、接合率の低さや礫面・転礫面・節理を持つものが少ないという
特徴があり、あらかじめ他の石材採集地で粗割りして得た縦長剥片の中で良品を抽出し
遺跡に持ちこんだ可能性、一時的な野営地としての遺跡の性格を調査者は指摘している。
引用参考文献
2013『カヤマチ遺跡』「一般国道113号 鷹ノ巣道路関係発掘調査報告書Ⅰ」新潟県教育委員会 財団法人 新潟県埋蔵文化財調査事業団
調査中のカヤマチ遺跡
出土ヘラ状石器